「終わりましたね……」
「そうですね……」
私達は互いにそう言うと芝生の敷かれた堤防に揃ってゴロンと寝転がった。
目の前では先ほどの野球少年たちが熱い勝負を繰り広げている。子供は風の子、元気だな。ベースを全速力で走る姿は尊敬に値する。
こちらはキッチンすみれに戻って片づけをしなくてはならないが、その前に休憩しておかないと身体が持たない。
「昔……私もあの少年野球チームに所属してたんですよ」
「王子さんが……?」
うわあ……王子さんに野球少年のイメージはないなあ。
「父親が野球好きでしてね。お昼に弁当を配達しにきてそのままベンチに居座って、練習している私にヤジを飛ばしてくるんですよ。自分は野球なんてやったことないくせに。そのうち怒った母が迎えに来て、首根っこ掴まれて帰っていくんです。それがもう、おかしくておかしくて……」
それは、初めて見る王子さんの思い出し笑いだった。
お茶目な人だったんだなあ、王子さんのお父さん。
「この間は怒鳴ってすみませんでした。何も分かっていなかったのは私の方です。私は……父親との楽しい記憶まで捨てようとしていました」
王子さんは芝生から立ち上がると、野球少年達を眩しそうに見つめた。かつての自分の姿と重ねたのかもしれない。



