「配達ありがとうございました。代金はこちらです」
差し出された封筒に目をパチクリさせる。
あ、そうか!!配達することに必死になり過ぎて、お代をもらうことをすっかり忘れていた。
えっと、お弁当が600円でそれが50個で消費税が8パーセントってことは総額いくらなんだ?
暗算ははっきり言って苦手だ。
受け取った封筒の扱いに悶々としていると、王子さんが助け舟を出してくれた。
「望月さん、封筒を貸してください」
王子さんは封筒の中身のお札と小銭を数えると、ダッシュボードから領収書を取り出し、金額と日付を書いて破り取った。
「領収書です」
「ありがとうございます。今日は菫さんじゃなくて、息子さんが配達に来たんですねー」
女性は受け取った領収書をバッグにしまうと、王子さんに向かって微笑んだ。
「菫さんが入院しちゃってお店を閉めちゃうのかなって思ってたんですけど、大丈夫みたいですね。子供達、キッチンすみれのお弁当が大好きなの。これからもよろしくお願いします」



