スープと一口に言っても、和・洋・中とジャンルだけではなく、肉・魚・野菜と使用する食材も様々である。

問題はキッチンすみれのお客さんが喜ぶのはどんなスープかという点である。

新メニューの方針が決まり、私と王子さんはそれぞれ一週間かけて己が食べたいスープメニューを思いつくまま考えてきた。

「ミネストローネ、ブイヤベース、サムゲタン、ボルシチ、酸辣湯、クラムチャウダー……。その他諸々、結構種類が挙がりましたね」

「そうですね……」

今日はその成果を発表しにやって来たのだが、見事に意見がバラバラになってしまった。

「全部試したいところですが、さすがに無理ですね。すこし絞りますか」

王子さんは予算的に無理なもの、食材の手配が困難なもの、工程に手間がかかるというものに対して、躊躇いなくバツ印を書いていった。

最終的にはミネストローネ、クラムチャウダー、オニオンスープの3つが残る。

「ひとまず、この3種類を作ってみますか」

「しばらくスープ三昧ですねえ」

「試作は私が担当しますけど、味見は手伝ってくださいね」

「はーい」

試食ならお安い御用。どんと来いって感じです。

私は任せてくださいと言わんばかりに、大きく胸を叩いたのだった。