「良かったですね。認めてもらえて」

弘忠さんと一緒に帰るというつぐみ姉を医務室の出入り口で見送ると、曲がり角からすっと王子さんが登場して困惑する。

「聞いていたんですか……?」

スタッフルームに行ったにしては、戻って来るのが遅いと思っていたんだ。もしかしなくても、つぐみ姉と私の会話に聞き耳を立てていたのだろう。

悪趣味と非難してやろうかと思っていると、王子さんは腰を曲げ、よいしょっと弾みをつけて私を抱き上げてしまった。

「さて、帰りましょうか?」

「な、なんでお姫様だっこなんですか!?」

私はいやいやと手足をばたつかせて、お姫様だっこを断固拒否した。

いくら足を怪我していても肩を貸すとか、もっとやり方があるでしょう!?

「そのスカートでおんぶしたら、下着が丸見えになりますよ」

「そうですけど!!」

ふざけているのかと思いきや、大真面目に言うからなお悪い。