「ひばりちゃん、招待客リスト持ってきてくれるー?」

「はーい、ただいま!!」

ゆりあさんからの指令を受け、会場裏のスタッフ用スペースから招待客リストを引っ掴んで持って行く。

つぐみ姉のお披露目会、当日。

私は朝から慣れないスーツを着用し、これでもかと会場内を走り回っていた。

(ええっと、会場のセッティングが終わったら、お料理の進行具合をチェックして、ウェルカムドリンクと……受付と……)

キャパシティの小さな頭脳しか持ち合わせていない私は、朝からやることがてんこ盛りで既に軽いパニックを起こしかけていた。

ブライダルって本当に大変!!

ブライダルが体力勝負だといっていたゆりあさんの言葉の意味を痛感した。

「ゆ、ゆりあさん!!招待客リスト持ってきました!!」

「ありがと。受付のテーブルに置いてもらえる?あと悪いんだけど、祝電が届いているか確認してきてもらって良い?」

「はいっ!!」

インカムを片耳につけ、あちこちに指示を飛ばすゆりあさんは文句なしにカッコ良い。

フレアスカートをなびかせ、女だてらに現場を隈なく見回る様子は仕事も出来る女性って感じだ。

っと、ゆりあさんに尊敬の眼差しを向けている場合ではない。

(祝電、祝電っと……)

己に課せられた職務を全うすべく、お披露目会の準備に追われているであろう会場スタッフを探しよそ見をしていた私は誰かの背中に思いきりぶつかってしまった。