「え、なにこれ……?」

ゆりあさんから手渡されたスケジュールを何とはなしに見て、度肝を抜かれる。

お披露目会は新婦の希望で9月の最終週、大安の土曜日に行われる予定となっているため、準備期間が明らかに不足しており、かなりのハードスケジュールをこなさなければならない。

数日の遅れが命取りになるような状況に、つぐみ姉の意図が見え隠れしているようで恐ろしくなる。

「ご存知の通り、時間もないから、早速取り掛かろうね」

ゆりあさんはそう言うと、ドンと重そうな音とともに分厚いファイルをいくつも私のデスクの上に置いた。

「この中からお姉さんが好きそうな雰囲気のお店をピックアップしてね。明後日までに最低でも20はリストアップすること」

「はーい……」

目の前に積まれたファイルの量の多いこと、多いこと……。

全部チェックするのにどれくらいの時間がかかるだろう。想像するだけでげんなりしてしまった。

(でも、やるしかないか……)

私は覚悟を決めるとバベルの塔のように天高く積み上げられた分厚いファイルをひとつ取り、ゆっくりとページをめくり始めたのだった。