私は涼の歌を聴きに駅前まで来ていた。
あの日と変わらない場所でギター1本で歌っている。
涼の周りには、若い女の子がたくさんいた。
涼は私の姿を見つけると、微笑んで歌い始める。
あの時、聴いたLove songを……。
当時、19歳になったばかりで金曜の夜に駅前を歩いていた私の耳に届いた歌。
それが涼の歌だった。
かすれた高めの声。
甘い声。
あの頃は、みんな涼の前を通り過ぎるだけで誰1人立ち止まって聴く人はいなかった。
私はフラフラと涼の歌声に導かれるように、涼の前まで行った。
そして涼を見た瞬間、動けなくなっていた。
涼の歌を聴いてたら、次から次へと涙が溢れてきて、下を向いてるとアスファルトに涙が落ちていって……。
その時、涼が声をかけてくれたんだよね。



