「望月先生が復帰されるまで、私が望月先生のクラスを担当する事になったんですよ」
「そうなんですか?ご迷惑をおかけして申し訳ないです……」
「いえいえ」
香山先生はそう言ってニッコリ笑った。
早く帰って欲しい……。
それが正直な気持ちだ。
「今日はありがとうございました。では……」
俺は香山先生が早く帰るように促して、玄関のドアを閉めようとした。
「望月先生!待って?」
「何でしょう?」
香山先生は教員の中では俺の先輩になる。
同じ学校に勤める者同士、無視して玄関を閉めるわけにもいかず、俺は玄関を閉める手を止めた。



