…………あ。


オートロックだ……。


立ってたって開くわけないか。


先生がここに住んでるってことしか知らない。


何階で何号室が先生の部屋だってことはわからない。


先生の電話番号も知らない。



「はぁ……」



口から大きな溜め息が漏れる。


何やってんだろ……私……。


先生に会えないとわかった今、緊張感が抜けて足から崩れそうになった。


帰ろうかな……。


そう思って、自動ドアに背に向けた時……。



「桜井、さん?」


「えっ?」



何で?


私は目を見開いて、目の前に立っていた人を見た。