私は、あのマンションの前に立っていた。
手にはコンビニで買ったプリンやゼリーやスポーツドリンクが入った袋を持って。
綾乃と別れ、アパートの部屋に帰って来たけど、頭に浮かぶのは先生のことばかり。
迷惑に思われるかもしれない。
彼女がいるかもしれない。
私って病気だな……。
先生のお見舞いに行こうと思って来たのはいいけど、いざ、ここまで来ると緊張感からか吐きそうになる。
やっぱり帰ろうか……。
でも、ここまで来たんだから……。
私はマンションのエントランスに入って、エレベーターホールに行くための自動ドアの前に立った。
あれ?
自動ドアが開かない……。
何で?



