「なんで泣くのよ?」
綾乃はケラケラ笑いながらそう言った。
「私が先生を好きじゃないことがわかって安心したから?」
違う……違うの……。
私は首を左右に振った。
「嬉しくて……綾乃の、優しさが嬉しかったの……ありがとう……」
「そんなことで泣くなんて、ゆずは優しい子だね」
「私なんて別に……」
「ゆずは優しいよ。それにさ……」
「ん?」
それに、なに?
「ゆずは他の生徒と違って先生を本気で好きなんだなぁってことが伝わってくるよ。他の子たちは先生が若くてカッコイイからキャーキャー騒いでるだけだと思う。でも、ゆずは違うんだよね」
「そうかな?」
「うん」
綾乃はそう言って笑うと、再び私の頭を優しく撫でてくれた。



