「そこまで言って言わないなんて気になるじゃん」
「何でもないから忘れて?」
「えー!気になるじゃん!って、さまか……私が先生を好きかどうか聞きたかったとか?」
「えっ?」
私は真顔で綾乃を見た。
「ゆずって、わかりやすい性格だよね。教えて欲しい?」
「いや、別に……」
聞きたたくない。
だから私はそう言って首を左右に振った。
「先生はカッコイイと思うけど、別に何とも思ってないよ?先生に対しては何の感情もないし」
「えっ?」
「ゆずって、本当に先生が好きなんだね」
綾乃はそう言って、私の側まで来ると頭を優しく撫でてくれた。
同級生で同い年の綾乃が凄く大人に見えて。
その優しさが胸に突き刺さった私の目からは大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちていった。



