先生の車はガソリンスタンドを曲がった。
ここから少し行けば、アパートが見える。
少し寂しい気持ちと早くこの緊張感から解放されたい思いが交錯していた。
「ここからどう行けばいい?」
「あ、えっと……このまま道なりで行ってもらったら右にコンビニがあるので、そのコンビニがある交差点を右折したらアパートがあって、そこです」
「了解。てかさ、コンビニって駅の近くにあるコンビニ?」
「はい」
「俺、そのコンビニよく利用してるんだよね」
「えっ?本当ですか?」
「あぁ、だって学校の帰り道だし」
「わ、私も何度か利用したことあります。多分、これから何度もお世話になると思いますが……」
アパートを決めるのにコンビニかスーパーが近くにあって、電車通学するのに駅まで歩いて行き来出来るというのが条件だった。
それに合ってたのが今借りているアパート。
「桜井さんちと俺んちって、案外と近いんだね」
先生はそう言ってコンビニがある交差点を右折した。
「そ、そうですね。あっ、あそこに見えるアパートがそうです」
先生の言葉にドキドキしてしまう。
マンションの件といい、コンビニの件といい、こんなことってあるの?