「じゃあね、戸締りをちゃんとするのよ」
と、お母さん。
「何かあったらすぐに連絡してこい」
と、お父さん。
「うん……」
駅のホーム。
ホームのベンチに私とお父さんとお母さんは並んで座っていた。
食事を終えたあと、明日帰る予定だったお父さんとお母さんは、お父さんに急用が出来たため帰ることになった。
ホームのアナウンスが響く。
お父さんとお母さんはイスから立ち上がって、白線のところに立った。
ホームに電車が入ってくる。
電車のドアが開き、お父さんとお母さんが電車に乗った。
「じゃあ、学校の勉強とピアノ、頑張れよ!」
お父さんが電車から手を伸ばし、私の頭を撫でてきた。
「うん。またね」
私は2人に手を振る。
ドアが閉まり、電車がゆっくりと走り始めた。



