大きく深呼吸をして、震える手で呼び鈴を押した。
「はーい」
中から女性の声がして玄関の電気がつく。
引き戸の玄関を開ける音がした。
中から出て来たのは、50代くらいの品のいい女性。
この人が、先生のお母さん?
「どちら様?」
「あっ、あの……。私、桜井柚葉と言います。夜分に申し訳ありません」
私は、頭を下げた。
「あなたが、柚葉ちゃん?」
「えっ?」
私は、顔を上げて女性の顔を見た。
私のこと、知ってるの?
「夏季の母です。夏季から柚葉ちゃんの話はよく聞いてましたよ」
先生のお母さんはニコニコ笑ってそう言った。
笑顔が先生によく似てる。



