ち、近いから……。
先生の顔が近い。
このままだったら倒れてしまいそうになる。
今にも倒れそうな体を倒れないように足に力を入れて立っていた。
「ピ、アノを……」
「あぁ!ピアノ室を使いたいってことかな?」
私は先生の言葉にコクンと頷いた。
今日からピアノ室を使えることは綾乃から聞いて知っていた。
でも、ピアノ室をどうしたら使えるのかはわからない。
「HRでピアノ室を使うにはどうしたらいいのか言ったけど?」
「あの、聞いてませんでした……すみません……」
私は先生に頭を下げる。
先生のクスクス笑う声が聞こえてくる。
「ついてきて?」
「えっ?あ、は、はい」
私はカバンを持ち、先生の後について教室を出た。



