パジャマに着替えて、部屋に戻る。
「柚葉?大丈夫か?」
座っていた先生が私に気付くと、立ち上がって私の側に来てくれた。
「頭がボーとして、足元がフラフラする」
「寝たほうがいい」
先生に支えられながらベッドに寝転んだ。
「夏風邪かなぁ?明日、病院に行くか?」
「病院に行かなくていいよ。寝てれば治るから」
熱はあるのに、咳が出るわけでも喉が痛いわけでもない。
この熱は風邪じゃないような気がする……。
「そうか?」
「うん」
「鎮痛剤買って来たから、それだけでも飲む?あ、でも薬飲むなら何か食べたほうがいいなぁ。ゼリーとプリン、どっちがいい?それともお粥作ろうか?」
先生の必死な姿に思わず笑いが込み上げてきた。
「何で笑うんだよ〜」
「ゴメンなさい、なんか先生の必死な姿がおかしくて」
「お前なぁ……。必死になるのは当たり前だろ?」
先生はそう言ってクスリと笑った。
そう言えば、先生が風邪をひいて休んだ時、私も今の先生と同じように必死にだったなぁ。
あの頃はまだ付き合ってなくて、でも先生が心配で必死で……。
でも……。
結局、会えなくて……。