「じゃあ、アパートまで送って行くから」
「お母さん、仕事抜け出して来たんでしょ?」
「そうだけど……」
「仕事、戻りなよ。私、ここからだったら1人で帰れるし」
「でも……」
お母さんは少し困った顔をしてそう言った。
「僕が送って行きますよ?」
私とお母さんの会話を黙って聞いていた先生がそう言ってきた。
「でも先生も仕事があるんじゃ……」
「僕は大丈夫ですよ。学校へ行く通り道に柚葉さんのアパートがありますし。送ったらそのまま学校に戻って仕事が出来ますから」
「ご迷惑になりませんか?」
「迷惑だなんて思ってませんよ」
先生はそう言ってニッコリ微笑んだ。
「じゃあ、お願いしてもいいですか?」
「はい」
「じゃあ、柚葉、お母さん仕事に戻るから何かあったら連絡して?先生に迷惑かけないようにね」
「うん」
お母さんは先生に何度も何度も頭を下げて、急ぎ足で駐車場に行った。



