「約2週間は手首を無理に動かさない方がいい。湿布出しとくから。また2週間後に来て?」
校医の先生はパソコンのキーボードを打ちながらそう言った。
「今日はもういいよ」
パソコンを打ち終えた校医の先生は私の方を見て、そう言うと優しい笑顔を見せた。
「ありがとう、ございました……」
私はお礼を言って、椅子から立ち上がると診察室を出た。
待合室にいたはずのお母さんと先生は、診察室のドアの横にある椅子に移動していて、私が診察室を出たと同時に椅子から立ち上がった。
「どうだった?」
「骨は折れてなかった……」
「良かった」
お母さんと先生が安堵の表情を見せる。
「桜井、さん?どうかしたの?」
私の顔を見て、先生が声をかけてきた。
骨に異常はなかった。
喜んでもいいのに、私の顔は今にも泣きそうになっていたからだと思う。
だから先生は心配して私に声をかけてきたんだろう……。



