「桜井さん?」
校長先生に声をかけられた。
「あ、は、はい」
普段、校長先生に声をかけられることなんてないから慌てて返事をする私。
「無理しないで下さいね」
校長先生はそう言って優しい笑顔を見せると、職員室に戻って行った。
その後をついて廊下に出ていた先生たちも次々に職員室に戻って行き、その場に残ったのは私と先生と香山先生だけだった。
「桜井さん?立てる?」
先生はそう言って私に手を差し伸べてきた。
「望月先生?まだ仕事が残ってらっしゃるんじゃないですか?」
私の横に突っ立ったままの香山先生がそう言ってきた。
「そうですね」
先生は香山先生と目を合わせようとしない。
「わざわざ望月先生が彼女を病院に連れて行ったり送っていく必要ないと思いますけど?ご両親に連絡して迎えに来てもらったらどうです?」
「僕は桜井さんのクラスの担任ですから……。自分のクラスの生徒がケガをしたのに、ほっとけるわけないでしょ?それに仕事はまた戻って出来ますから……」
「でも……」
「香山先生こそ早く職員室に戻って仕事されたらどうですか?」
そう言った先生はやっぱり香山先生とは目を合わせようとしない。
先生の言葉に何も言わない香山先生。
「桜井さん?車のキーを取って来るから、ここで待ってて?」
香山先生に話した口調と180度違う優しくいつもの先生。
私はコクンと頷く。
先生は香山先生を無視するように職員室へと戻って行った。



