「アパートから望月先生が出て来たところも見たんだけどなぁ……似た人だったのかしらねぇ……」
香山先生はそう言って、私の方をチラッと見た。
私がどんな表情をしてるのか確かめるように。
「似た人、だったんじゃないでしょうか?」
私は平静を装いそう言った。
「そう?」
香山先生は疑いの目で私を見てくる。
「そうですよ……きっと……。私は先生とは付き合ってないし、先生は私のアパートに来たこともありません」
私がそう言うと、香山先生は私を見ているだけで何も言わなくなった。
「失礼します」
私は再びそう言って、カバンを持って理科室を出た。
大きな溜め息が口から漏れた。
足がガクガク震えていた。
ここから一刻も早く離れたい。
私はガクガク震える足で、その場を離れてピアノ室に急いだ。



