でも、前にいるカップルの彼女の方。
さっきから気になるんだよね……。
聞いたことある声のような……見たことある後ろ姿……。
そんなことを思いながら前にいるカップルをジッと見ていた。
そしてカップルが出入口に行くために曲がった時、彼女の横顔が目に入った。
「…………あっ」
「柚葉?どした?」
「先生、こっち!」
私は先生の手を引っ張って走ると、車の後ろに入った。
「先生、しゃがんで?」
「えっ?なんで?」
「いいから!」
先生は背が高いから、車の後ろに入っても顔が見られてしまう。
先生は何で私がそんなこと言うのかわからない様子で、とりあえず言われ通りにしゃがんだ。
私も隣にしゃがむ。
「柚葉?」
先生が声をかけてくるけど、さっきのカップルが気になって返事が出来ない。
時々、立ち上がってカップルの様子を見ていた。
完全に視界から消えた時、私の口から安堵の溜め息が漏れた。



