教室に入り、自分の席に着く。
先生は職員室に配り物を取りに行ったため教室にはいなかった。
さっき声をかけてきた女の子が私の前の席だった。
「ねぇ？」
窓の外を眺めていた私に、前の席の女の子が声をかけてきた。
「えっ？ん？」
「私、坂井綾乃(サカイ アヤノ)。あなたは？」
「あ、えっと、私は桜井柚葉」
「私の通ってた中学から、この高校に入学したのって私1人で……。もし良かったら仲良くしよ？3年間同じクラスだし」
坂井綾乃と名乗った女の子はそう言ってニッコリ笑った。
音楽科は1クラスしかなく、3年間クラスのメンバーも変わらない。
「私も自分の通ってた中学からは私1人だけなんだ。こちらこそ！宜しくね！」
「良かったぁ！あっ、私のこと綾乃って呼んでね。あなたのことは何て呼べばいい？」
「名前で呼んでくれたらいいよ。ゆずでも柚葉でも」
「じゃあ、ゆずって呼ぶね」
「うん」
入学早々、私に新しい友達が出来た。
これから始まる新しい生活。
楽しくなりそうだな……。
そんなことを思ってると、職員室に行っていた先生が帰ってきた。
