マンションに着いて、玄関の中に入った途端、俺は柚葉をギュッと抱きしめた。 「ちょ、せ、先生?」 「ずっと我慢してた……」 「えっ?」 「柚葉のこと、抱きしめたくて仕方なかった」 「先生……」 柚葉が俺の腰に腕を回してくれて……そう思っていたけど……。 「……離して?」 予想外の言葉が柚葉の口から出て、俺は思わず抱きしめていた腕を緩めた。 俺から離れる柚葉。 「これ、冷蔵庫に入れなきゃ」 柚葉は裕幸からもらった惣菜の入った紙袋を少し持ち上げてみせた。