ー夏季Sideー
柚葉と裕幸のマンションを出て、車に乗った時には日付けが変わる少し前だった。
「遅くなっちゃったな」
「ううん、明日は休みだし大丈夫だよ」
「どうする?送って行こうか?それとも、うち来る?」
柚葉を家に帰さないといけないとわかっていた。
「えっ?」
柚葉は驚いた声を出して俺を見た。
「ゴメン……」
柚葉と、まだ一緒にいたかったから……。
でも、やっぱ未成年を連れ回すわけにはいかないか。
「先生の家に行っていいの?」
「えっ?」
柚葉の意外な言葉に今度は俺が驚いた声を出した。
「先生の家に行きたい……」
マジで?
「夜遊びなんて悪い生徒だな」
俺はそう笑いながら言うと柚葉の頭を撫でた。
「先生こそ。生徒を引き止めるなんて悪い先生」
柚葉はそう言って、少し照れたように笑った。