「それで、高校の音楽の先生になったの?」
「そうだよ。リハビリして普通にピアノが弾けるまで回復したんだ」
そう言って短くなったタバコを灰皿に押し付けた。
「先生?その傷がそうなの?」
「ん?」
捲ったスウェットの袖から見える左腕。
肘から手首にかけてある手術の後。
そこに目を落とした。
「うん。そうだよ」
俺がそう言うと、柚葉は俺の腕にある手術後の上をそっと撫でた。
「柚葉?」
泣いてんのか?
柚葉を見ると、俺の腕を撫でながら泣いてるのが見えた。
「ゴメン、ね……」
「なんで謝るんだ?」
「だって、辛いこと思い出させちゃったから……」
「柚葉は気にしなくていいんだよ。今はさ、高校教師になって良かったと思ってる」
「えっ?」
「だって柚葉っていう可愛い子に出会えたから」
「せん、せぇ」
「泣くなよ」
俺は柚葉の頭を優しく撫でた。
そして、柚葉の腕を引っ張って力強くギュッと抱きしめた。



