「コンクールを1ヶ月前に控えていたある日、事故に遭ったんだよ……」
「えっ?」
柚葉は俺の言葉に驚いた声を出した。
「腕に大怪我負って、コンクールは諦めることになって……。医者からはピアノが弾けるようになるかどうかもわからないって言われたんだ」
「そんな……」
そう言った柚葉は手で口元を覆った。
「もう絶望的だったよ。世界の終わりってくらいに。小さい頃からピアニストになるためだけに練習を頑張って来たのに、事故に遭って腕がダメになって、俺の今までは何だったんだろうって……」
「先生……」
「それから荒れた生活を送るようになって、毎晩酒を浴びるほど飲んで、好きでもない女を抱いてさぁ……」
「うん……」
「でもそんなドン底にいた俺を救ってくれたのが、3人の親友とコンクールを勧めてくれた先生だっんだ」
「そうなの?」
「あぁ、3人の親友と先生は俺の荒れた生活を本気で心配してくれて叱ってくれた。ピアニストにはなれないかもしれないけど、お前が将来ピアニストになりたい子や音楽の道に進みたい子を育てる仕事をしたらどうかって言ってくれて、そこで目が覚めたんだよ」
あいつらや先生が救ってくれなかったら、今の俺はどうなっていたか……。
あいつらや先生には本当に感謝してるんだ。



