「ピアノ、弾く?」
先生のマンション。
アイスティーを持ってきた先生がそう聞いてきた。
「ん?いい……」
ソファーとテーブルの間の床に膝を抱えて座り、琥珀色のアイスティーを見ながらそう言った。
氷が溶けて“カラン”と涼し気な音を立てるアイスティー。
それをジッと見つめる私。
綾乃に言われた言葉が頭をグルグル回る。
「柚葉?どうしたの?なんかあった?」
先生は心配そうにそう聞くと私の隣に座った。
「今日もピアノ室に行かなかったろ?」
頭上から聞こえる先生の声。
私の隣といってもソファーに座っている先生の表情は見えない。
「うん……」
私はストローでアイスティーをグルグルかき混ぜながらそう答えた。



