「桜井さん?」



お風呂場の扉が開いた。


膝を抱えて座っていた私は顔を上げて先生を見る。



「長い時間、ゴメンね」


「いえ……」


「ピアノの練習が途中止めだったね」



私をここに閉じ込めた理由を話さない先生。


でも私はわかっていた。


香山先生が来たからだ。


玄関から聞こえてきた香山先生の声。


やっぱり香山先生と先生は付き合ってるの?


私がいたから少し話をしただけで、先生は香山先生を帰したの?


だったら私はここにいたらいけないんじゃ……。