ボードに目を落とす先生。
「桜井さん?」
ボードを見終わった先生は私の方を見た。
「あ、はい……」
「名前、本当に書いた?」
私は無言のまま頷いた。
「おかしいなぁ……」
先生はそう言って困った顔をしている。
「桜井さんの勘違いじゃないの?今日はもう振り分けちゃったから、もし明日ピアノ室を使う時には必ずここに名前書いてね」
香山先生は“必ず”という言葉を強調してそう言った。
絶対に書いたはずなのに……何で……。
泣きそうになるのをグッと堪えていた。
「今日はもう帰りなさい」
そう言った香山先生の顔を見る。
どことなく迷惑そうな、でもさっき見た冷たい笑顔をしていた。
「……はい」
私は会釈をして、職員室を後にした。



