「望月先生?」
香山先生は自分の机に座って仕事をしていた先生を呼んだ。
香山先生の声に気付いた先生は椅子から立ち上がりこちらに来た。
先生と一瞬だけ目が合う。
でも恥ずかしくて目を逸らしてしまった。
「何ですか?」
「今日のピアノ室の振り分け担当って望月先生でしたよね?」
「そうですけど……。それが何か?」
「桜井さんがボードに名前を書いたはずなのに、名前がないって言って来てるんですが……」
「えっ?ホントですか?桜井さんの名前はなかったから振り分けなかったんですが……」
先生が困ったような顔をしている。
「今、確かめたんですが名前はなかったんですよ……」
香山先生はそう言って、私の手に持っていたボードを取り、それを先生に渡した。
その時、一瞬だけだけど香山先生が私に対して冷たい笑顔を向けたように見えた。



