あの場所。 2年前のあの場所… 2つのベンチが並んである場所。 私は人混みを掻き分けてがむしゃらに走った。 「田中くん!!」 2年前のあの場所にたどり着いた時、私は彼の姿を見つけ名前を呼んだ。 田中くんはベンチから立ち上がり私を見ると優しく微笑み、両手を広げて抱きしめてくれた。 「田中くん、覚えてたんだね」 そんな彼にそんなことを言ってみると、申し訳なさそうに顔を歪ませ、 「僕の記憶力なめないでくれる?」 いつもの調子で言葉を返してくれた。