「浴衣着てこなかったんだね」 「彩」 宙は私の言葉に答えることなく名前を静かに呼んだ。 なんだか、改まった感じかして妙に落ち着かない。 「な、に?」 トクン、トクン── 「俺、やっぱお祭り行けないわ」 「えっ…?!」 昨日とか、今朝だって行く話で盛り上がっていたのに? 宙の言葉を聞いて頭の中はハテナマークだらけになった。