きっと私は心のどこかで、口にした気持ちとは反対の気持ちを抱いていたからだ。 トン── 突然私の頭に手を置かれた。 「僕、君のこと諦めるなんて無理だ」 「っ…!!」 たった一言そう言うと、田中くんは教室を出て行った。 「彩…」 呆然としている私を愛奈が心配した様子で見ていた。 「ハハッ、いつもの冗談だよ!田中くんは何考えてるか分かんないから困っちゃうよね」 必死に自分に言い聞かせた。