『あっ、うん…宙も早くクラスに戻ったほうが良いよ?』



田中の言っていたことは本当なのか、彩はちゃんと俺の心配もしてくれていた。

けれど、今はその優しさが傷に染みる。



『…おう!』



その悔しさを振り払うように、飛びっきりの笑顔で返事をした。



俺は彩が弱っている時につけ込んで、さんざんヒーロー気取りしてきた。

そうまでしてでも、彩を手放したくなかったんだ。



けれど帰り、彩は俺を真っ直ぐ見て胸に飛び込んできたんだ。

そして、



『私、宙の荷物持つよ!!2人で持ち合いっこしようよ!』



こう言ったんだ。



悔しいけれど、俺の負けだね。

彩には叶いっこないよ。



彩…ありがとう──