「ごめんな、彩」



「ううん、悪いのは私。ごめんね…」



宙が謝ることない。

なにも分かっていなかった私が悪いんだから。



「俺…ワガママ言っていい?」



「いいよ」



すると彼は1度深呼吸をして、私の顔を自分の胸に押し付けた。



トクン、トクン──



宙の心臓の音が聞こえる。



「……俺、彩の1番になりたい…」



そして静かに呟いた彼の言葉は少しだけ震えていた。



私の…1番。



そう言われて思い浮かぶ顔は……田中くんだった。



ポンポン──



宙は私のことを気づかい、私の頭を撫でた。

だから彼は、〝いつかね〟と付け足したんだ。



今、顔を上げればきっと彼は切ない表情をしている気がした。

そんな彼に、〝私の1番は宙だよ〟と言えるわけもなく、彼の胸に顔を押し付ける。