ずっとずっと、片想い



  〇


学年対抗リレー、後半。

我が1年B組に危機が迫っていた。

緊張のせいか、練習では見受けられなかった多数のバトンミスや転倒。

1年B組は所謂「ドベ」だ。

そして次は俺の番。

レーンの向こう側にいるアンカー――俺がバトンを渡す相手――は軽くジャンプしたり手首や足首を回し、ウォーミングアップをしていた。


アンカーは真田。


コイツに頼るしかない。


俺の横を凄いスピードで走っていく上位クラスのランナー。

余裕の笑みで団席に手を振っているのが気に障る。

それを堪えて俺にバトンを渡すクラスメイトを待つ。

真剣なまなざしで走ってくるクラスメイト。

バトンを受け取る体勢になり、少しずつ走り出す。

練習と同じタイミングでバトンが俺の手の中に納まる。

その瞬間


「小島くん!頑張って!」


あの人の声だ。

透き通っていて、清らかで、柔らかくて、強くて。



「先輩っ……!」


俺と先輩は違う団のはずなのに、おかまいなしに俺を応援する先輩。

あ、しまった、とでも言いたげな表情で口に手を当てる先輩。



自然と笑みがこぼれた。