ずっとずっと、片想い




『優勝は、1年B組』


その言葉がアナウンスされた途端、俺たちは一斉に立ち上がり声を張りげて喜んだ。

優勝できたんだ……。

ふと思い出すのは、黒木先輩のこと。

どこかで見ていてくれていたらいいのに。



「黒木先輩」



キョロキョロと辺りを見回すと団席の中央に座っていた黒木先輩を見つけた。

黒木先輩も俺に気付いたようだ。

軽く会釈する。

顔を上げると、手をこちらに振ってくれていた。

先輩に手を振るのは失礼かもしれないけれど、ちょっとだけ、少しだけ、軽く手を振る。

すると黒木先輩の隣に座っていた女の先輩が肘で黒木先輩をこずく。

黒木先輩は手を横に振り、顔もそれと同じ動きをした。



「どこに手振ってんだよ!」



真田が話しかけてきたが、今はそれどころではない。

距離は遠いけど、少し黒木先輩との心の距離が縮まった気がした。


黒木先輩も俺と同じ気持ちだったらいいのに。



そうして時間は流れ、いよいよ体育祭の大目玉。


学年対抗リレーが始まった。