「じゃあそろそろ帰ろうか」
窓の外を見ると、夕暮れは夕闇に近付いていた。
「はい」
俺と先輩は一緒に昇降口へ向かった。
「今日はお疲れ様でした。体育祭頑張ろうね。」
そう言って帰ろうとする黒木先輩。
こんな時間に1人で大丈夫だろうか。
……いや、心配だ。
だけど、『送っていきます』なんてちょっとクサくないか?
ましてや、俺は年下だし。
でも……ダメだ。引きとめよう。
「先輩!ちょっと待ってください!」
黒木先輩が振り向く。
その途端、髪が揺れた。
風に吹かれて、なびいた。
その情景があまりにもあのときに似ていた。
――『また明日!ツッくん!』
「また明日!先輩!」
先輩は笑って「また明日、小島くん」と言った。
