「いたた……ごめんね、大丈夫?」
先輩が足を滑らせて椅子から落ちてしまった。
それを庇おうと先輩の下敷きになった、のだが……
この体勢はマズい!
俺は手を後ろについて座っている状態。
俺の手と腰の間に手を入れて四つん這いの格好になっている黒木先輩。
これは、男としての理性が……危ない!
しかも黒木先輩なんか凄くいい匂いがする!
頭がおかしくなりそうだ!
「俺は大丈夫です!大丈夫ですから!」
必死に顔の前で手を横に振り、黒木先輩との距離を遠くしようとする。
顔が熱い。真っ赤になっているのだろうか。恥ずかしい……。
すると先輩は
「でも……鼻血出てるよ?」
と俺に言った。
鼻血……!?
鼻を手で擦ると真っ赤な血が手の甲についた。
さ、最悪だ……。
「すいません!先輩!すいません!」
そういって俺は一目散にトイレへ走った。
