足早に自分たちの教室へ戻ってきた俺らの息は少しだけ荒くなっていた。


会えたんだ……本当に、『レイちゃん』なんだ。

俺は感動と衝撃と興奮で心臓が今にもはち切れそうだった。


「おい、あの美人誰だよ!彼女かよ!」


机を強く叩き、真田が凄い剣幕で俺に聞いてくる。

黒くこげた肌が真っ赤になっている。


「ちげえよ」


あの人は、俺にとって





「憧れの人なんだよ」




昔とは全然違う雰囲気の『レイちゃん』。

また会えるなんて思っていなかった。

会えて嬉しい、だけど


なんだろう、この虚しさと悲しみは。



夕日は教室と俺たちを赤く染めあげていた。