「ぐっ、何故だ?この魔界で、俺が負けるはずは・・・」


吹っ飛び地へ落ちた牙王とは違い、その場から然程動いていない風夜を牙王が睨む。


「・・・神族は神界、魔族は魔界。それぞれの地でなら、他の地よりも強い力を使え、逆の世界へ行けば力が抑制される。まあ、お前らは汚い手を使って、神界でも関係なかったみたいだけどな。だが」


そんな牙王に構わず、風夜は近付いていく。


「・・・俺も魔族になった以上、お前らと俺の条件は同じ」


風夜の背に黒い翼が三対現れ、それを見ると牙王の表情が青ざめた気がした。


「・・・っ」


近付いていく風夜に、牙王の表情がひきつっていく。

恐怖を感じているようにも見える彼に、風夜の手が向けられる。


「・・・・・・終わりだ」


短く呟いたかと思うと、その手から大量の魔力が放たれ、牙王の身体を飲み込む。

それはあっという間の出来事で、牙王は声を上げることも許されずに消えていった。