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神界へとやってきて数日。

既に魔族達との戦闘は始まっているのか、軍の本部は何処か慌ただしかった。

神界軍の本部があるフロアに部屋を用意してもらっていた花音は、ふと行き来する軍人達に混じって何処かに行こうとしている聖羅に気付いた。


(どうしよう?)


花音も一人でいた為、近くには誰もいない。

それでも迷っている間に、聖羅は出ていってしまう。


(追いかけなきゃ・・・!)


少し迷いはしたが、今行かなくては完全に見失ってしまうと追い掛けることにした。


「ちょ、待って!」

「!!」


塔を出たところで、聖羅に向かって声を掛ける。

すると、彼女は驚いたように振り返った。


「一体、何処に行くの?」

「近くの町よ。・・・ここだと、中々詳しい状況がわからないから」

「でも、一人で行くのは・・・」

「神蘭達は皆、出てるでしょう。まぁ、いたら反対されて出してもらえないだろうけど」


そこまで言って、聖羅は花音を見て、何かを思い付いたように手を叩いた。