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花音達が紫狼と話している頃、街から離れた城の中で水晶を使って、その様子を見ている黒姫の姿があった。


「ふふふっ」

「どうかされましたか?」

「いえ、ただ思い通りになったみたいでね」


答えて、窮姫にも水晶を見せる。


「この間の一撃で、ですね」

「ええ、そして上手い具合に、この街を滞在場所として選んだ」


そう言うと、黒姫は「ふふふっ」と楽しそうに笑った。


「・・・牙王」

「・・・ここに」


黒姫の声に、呼ばれた牙王が膝をつく。


「貴方に任務を与えるわ。軍を率いて、この街へ行きなさい。私に逆らう者は、すべて始末するのよ。・・・闘神達が魔界に来たばかりで、本調子でない今ならそう難しいことではないはずよ」

「はい」

「なら、行きなさい。・・・いい報告を待っているわ」

「お任せを」


黒姫に頭を下げると、牙王は姿を消した。