軍医の男性に車椅子を押してもらい、花音が神界軍本部に入ると、中にいた全員が一斉に見てくる。

それに思わずたじろぐと、その中から小さな影が三つ飛び出してくる。


「花音ちゃん!」

「花音!」

「花音お姉ちゃん!」

「わわっ!?」


抱き付いてきた風華、紅牙、蒼牙に驚くが、それと同時に三人の目に涙があるのが見え、本当に心配をかけてしまったのだと申し訳なく思った。


「・・・それで、もう大丈夫なの?」

「そのことで話があるので、集まってもらったんです」


そう言うと、軍医の男性は紙の束を取り出した。


「まずは、短剣についての報告なのですが、魔界にある毒が検出されました」

「毒?」

「はい。その成分を調べたところ、我々神族にとってかなり有効なものであることが判明しました。おそらくこの毒を使って、聖羅様の力を封じようとしたのでしょう。毒を受ければ、その影響で動くこともままならなくなるでしょうから」


言って、軍医の男性は花音を見た。


「どうだい?君は力が使えるかい?」


言われて花音は力を使おうと集中したが、その時身体中に痛みが走って、息を詰めた。