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その頃、花音が戻ってこないことを不思議に思った風夜と光輝は、神蘭から話を聞いて湖まで来ていた。


「いない!?姉上は此処にいたんじゃないのか?」


花音が見つからないことに少し苛ついたように光輝は辺りを見回す。


「神蘭の話だと、その筈なんだけどな」


そう風夜が呟いた時、空間の一部が歪み、そこから何かが勢いよく飛び出してきた。


「うわっ!?」

「・・・っ」


それを慌てて避けた光輝とは違い、風夜は飛んできたものを掴む。

それは一本の矢だった。


「おい、それって」

「ああ。どうやら、何かあったみたいだな」


声を上げた光輝に返し、矢が飛び出してきた辺りを見る。


「・・・戻るぞ。刹那なら、今花音が何処にいるのか、特定出来る筈だ」

「・・・そうだな」

「心配しなくても、これを飛ばしてきたくらいだ?まだ無事なんだろ。・・・まぁ、のんびりはしていられないだろうがな」

「ああ。わかってる」


同じ様に矢が現れた辺りを見ていた光輝は、そう言うと踵を返した。