「わかったか?お前が彼奴らにあんな表情をさせたんだ」


涙を流した跡があり、目を赤くした神蘭、本当に安心したような表情の鈴麗、少し寂しげに見える龍牙、白夜、複雑そうな表情をしている千歳、昴、星華を見ながら、風夜が言う。

それと同時に、風夜が飛ばしてきた風の刃で漸く花音達も自由を取り戻せた。

かと思うと、不意に神蘭が封魔のことをキッと睨み付け、一気に距離を詰める。

そのすぐ後に、パシィッと乾いた音が聞こえ、封魔の左頬が紅くなる。

叩いたのは神蘭で、彼女はまだ封魔のことを睨みつけていた。


「この馬鹿!馬鹿封魔!頑固者!・・・少しは、私達の気持ちも考えてよ!」

「神蘭、俺は・・・」


再び泣きそうに顔を歪める神蘭に、封魔が何か言おうとした時、それまで無視されていた闘牙の声がした。


「さっきから、この俺を無視するなぁ!」


そう言いながら、放たれた魔力は風夜が相殺する。

花音が視線を向けると、ギラついた目をしている闘牙が苛ついた様子で此方を見ていた。


「封魔、あとは俺達が」

「お前はもう休んで・・・」

「いや」


龍牙、白夜を遮り、封魔が前に出る。


「俺なら、まだ大丈夫だ。だから、こいつは俺がやる」

「でも」

「もう外さないさ」


腕輪を押さえそう言った封魔に、神蘭は溜め息をついた。