走るように帰っていった君を横目で見ながら、春香を押し返した。


「じゃあね」


春香はそれだけ言って帰ってった。


立ち尽くす俺。


情けない俺。


これでいい。


これでいいんだ。


莉奈はもっと、幸せにしてくれる男に この先出会えるはず。


俺なんかよりも、もっといい奴がさ。


これが莉奈にとっても、俺にとっても1番いい選択だと信じてる。


夜空に浮かぶ花火の煙を見上げながら


1人、そう思った。