春と悠斗以外は流石に早退するとの事で、バッグがそばに置いてあった。
水樹たちは目立ったところに外傷は無いから、そのまま授業に出るようだ。
チャイムがなったら教室に戻ろうっていう話になり、鳴るまではずっとトランプや雑談などを楽しんだ。
………途中サイレンの音が五月蝿かったが。
―――キーンコーン…カーンコーン…
とチャイムがなり、水樹たちは教室に戻った。
扉を開けた途端、クラス中の視線が水樹に降り掛かった。
顔を赤くする者、固まって動かなくなる者…様々だが、女子たちは我に返ってから水樹はを取り囲む。
「あの…!名前、なんですか?」
「かっこいいですね!どこのクラスですか?」
などなど、様々な質問を向けられる。だが、水樹は首を傾げるばかりだ。
そこで宗平はため息をつきながらも水樹に教えた。
「なんで名前知らないんだって顔してるね。ウィッグ付けてないからだよ?」
「…ああ、なるほど。……じゃあ、自己紹介でもしとくか。
俺は熊野水樹だ、正真正銘のな。」
その言葉でクラス中がまた騒がしくなった。


