「ダルいね、流石に。これ、校舎から見られてなきゃいいけど。」
ため息をついた宗平の横を辰巳の拳が通り過ぎ、その奥にいた男が殴られる。
「油断すんじゃねぇよ。つぅか、別に良いだろ。評判なんか。」
宗平も辰巳の横に蹴りを入れつつ、やれやれと言うように首を振った。
「分かってないね。これが後々良いことに繋がるんだよ。」
辰巳はうんざりしたような顔をしながら宗平に背中を向けた。
そして、宗平も同様に背中を向ける。
そこに二人の肩にぶつかるように水樹がやって来る。
水樹は目線だけを宗平に向けて言った。
「なに仲良くおしゃべりしてんだ。」
宗平は思わせ振りな言葉を言い、辰巳に目を向けた。
「だって…ねぇ?」
「ねぇ?って何だよ。つぅか…なんだっけこれ、背水の陣?」
「四面楚歌、な。」
辰巳の馬鹿さに呆れながら、水樹はこの状況に合う言葉を言った。
「背水の陣は無いでしょ。だって後ろは心強い仲間だよ?」
「あーそうだな。んじゃ、背中は任せた!」
「任された。潰れんなよ?」
「水樹が一番に倒れたりして。」
宗平はクスクスと笑いながら迫ってくる男に踵落としを食らわせた。
確かに水樹が一番体力が少ないだろうが、それでも二人には引けを取らないだろう。
水樹は額に青筋を浮かばせそうになりながらも、回し蹴りで男を吹き飛ばす。
「つぅか、これいつまで続けんの?」
「全員倒すまで。」
「えー…そろそろでストレス解消されるよ?」
などと言いながらも、宗平は楽しそうだ。


